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身近な人の死を迎えるために【事前にやっておくべきこと】

身近な人の死の事前準備


私事で恐縮ですが、私の身の回りでは2019年から約26ヶ月の間に父・兄・母と3人の親族が亡くなりました。
このこと自体はそれぞれ残された者にとっては悲しい出来事であり、3人それぞれへの生前の思い出や心に残っているものが走馬灯のように頭をよぎる日々が続きました。葬儀や法要・納骨などは新型コロナウイルスの影響下でできる限りのことを行い、勝手ながらも亡くなった3人の新たな旅路のために精一杯の供養はしてあげられたのではと思っています(仏教の考え方ですが・・・)。

一方で、身近な親族が続けて亡くなったことで必要になる葬儀や公的届け出、相続など手続き作業に追われる日々が続き、このブログ記事を書いている時点でも相続後の各種残務処理が継続している状況です。こうした葬儀や死後手続き類は、待ったなしでやって来て期限も決められているものも多いため、故人への思いを巡らせゆっくりと悲しみや思いを癒している余裕など持てなくなるのが実情です。

そのような実態を事前に知っておき、身近な親族には生前から自分の死後の手続きに必要な情報をまとめてもらい、それらの情報について、死後の処理を行う親族との間でコミュニケーションをとっておくことが重要となります。そうしておくことで、少しでも安心して死を迎える、もしくは、余裕をもって効率的に死後の処理を行うことで心身のケアをしながらより深く故人や周囲の方々への思いを寄せることができるのではないかと思います。

ここでは、短期間に親族3人が続けて亡くなった体験をもとに身近な大切な人が亡くなる際に事前にどのような情報をまとめておけばよいのか、何を準備しておくべきなのかについて体験談も加えて説明したいと思います。

実際に身近な人が亡くなった場合、2週間程度は休む暇もなく手続きや意思決定に追われ、必要な情報が足りなかったり不明な場合はさらに必要作業が増えてしまいます。あらかじめ、少しでも全体の流れや必要情報が判っていれば準備しておくことで落ち着いて事を進めることができます。
情報を何気に確認する意味でも、大切な身近な方との生前のコミュニケーションに役立てて頂ければ幸いです。

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基本事項

死後の手続きや葬儀などをスムースに進めるために、基本的な個人情報や、人物像、死後の処理忘れで悪用されかねない行政発行書類について確認をしておきましょう。

普段の生活で使用している名前や名前の漢字表記、生年月日、本籍地、現住所などが戸籍上のものと違っている場合があります。公的手続きや葬儀などを進めるうえで役所で最初に行うべき「死亡届」がスタートラインになりますので、「死亡届」が速やかに受理され役所での「除籍」という手続きに問題が生じないように以下を再度確認しておいてください。

  • 戸籍上の姓・名と戸籍上使用している漢字など表記文字
  • 生年月日(思い入れや記憶違い、役所のミスなどで通常使用しているものと異なる場合があるため)
  • 本籍地(略さない戸籍上に表記されている本籍地)
  • 住所(現住所のこと。略さない住民票に表記されている住所)

身近な大切な方の人物像なり略歴、足跡などを簡潔にまとめておくと便利です。

  • 学歴・職歴
  • 趣味
  • 価値観(何を大切に生きてきたのか、座右の銘など)
  • 他人からどのように見られていた人物であったか
  • 自分にとってどのような存在であった人物か
体験談

死後の手続きには直接的には必要無いこれらの情報ですが、戒名を頂く際には必ず聞かれます。この様な情報が無いとお寺さんや僧侶も戒名に困ってしまいますよね。大切な方を想い起せるような戒名を頂くためにも、生前のコミュニケーションを通して是非確認しておいてください。

また、葬儀での喪主挨拶などを考えるうえでも重要なキーワードが得られるのではないかと思います。

マイナンバーカード・住民基本台帳カード・印鑑登録証の登録の有無とそれら物の保管場所を確認しておいてください。「死亡届」後はマイナンバーカード・住民基本台帳カード・印鑑登録証は無効になりますが、諸手続き終了後(役所手続きと年金手続き終了後)速やかに裁断しての破棄処分すべき物ですので確認はしておいてください。
名残惜しく必要以上に残しておくことは、詐欺や犯罪に悪用されかねませんので注意が必要です。

  • マイナンバーカード(登録の有無、保管場所)
  • 住民基本台帳カード(登録の有無、保管場所)
  • 印鑑登録証(登録の有無、保管場所)

免許証・パスポートの所持の有無とそれら物の保管場所を確認しておいてください。悪用防止のために亡くなられた後は返納をお薦めしますが一定の手続きを行うことで手元に残すことも可能です。ただし、これらについても名残惜しく必要以上に残しておくことは、詐欺や犯罪に悪用されかねませんので注意が必要です。

  • 免許証(所持の有無、保管場所)
  • パスポート(所持の有無、保管場所

喪主・法定相続人代表者

身近な人の死後、速やかに行わなければならない葬儀や各種手続きについて、責任者が誰なのかを明確にしておく必要があります。後々に遺恨を残さぬよう、あらかじめ責任者をはっきりさせておいた方が良いと思います。

これらが決まっていないと、いざの場合の葬儀次第の意思決定者不在で、全てのスケジュールに遅延が生じる可能性が出てきてしまいます。通常はすんなり決まると思いますが、親族の関係が複雑であったり、それなりの規模の会社代表や役員である場合などは事前に話し合い、決めておいた方が良いと思われます。

  • 亡くなった場合の葬儀喪主は誰か
  • 社葬など個人以外での葬儀主催の可能性の有無
  • 喪主となる方の銀行口座通帳のコピーなど口座がわかるもの
    (健康保険からの埋葬料・葬祭費支給を受ける口座)

    (多忙な中での手続きに必要なため、事前準備が無難)

死後の各種手続きには、公共料金の精算や年金未支給分の受領、健康保険からの葬祭・埋葬費用給付、各種任意の損害保険精算など金銭のやり取りが発生するものが多くあります。そのため、このような手続きを行えるのは残された配偶者や子など法定相続人に限られてきます。更に、細かいことを言うと手続きを行う方は、本来は全法定相続人から全法定相続人の代表としてこれらの手続きを行うものとして選任されている必要があるようです。

  • 法定相続人の名前・連絡先の確認
    (事前確認の段階では、戸籍謄本および生まれてからの全ての連続した戸籍謄本を確認するか、当人へ確認してみるかどちらかになります。死亡後は、あらためて生まれてから亡くなられた時までの全ての連続した戸籍謄本(除籍謄本・改製原戸籍)が必要となります。)
  • 各種手続きを行う代表者(法定相続人代表者)を決めておく
  • 法定相続人代表者は、ご自分の戸籍謄本および身分証明となる免許証などを用意
    (年金未支給分の受領手続きなどで必要、戸籍謄本は亡くなった後に取得)
  • 法定相続人代表者は自分の銀行口座通帳のコピー
    (年金未支給分の受領手続きなどで必要)
  • 法定相続人代表者が全法定相続人の代表として死後手続きの主体者となることの同意を得ておく
  • 法定相続人には別途、相続(もしくは相続放棄)手続きも発生することでの協力を得ておく
体験談

実際の手続きの中では、届出人に関して、亡くなった方との続柄についての口頭確認や提出書類として戸籍謄本などを求められる場合はありますが、「あなたは全法定相続人から全法定相続人の代表としてこれらの手続きを行うものとして選任された法定相続人代表者ですか?」と聞かれたのは自然災害による家財のこくみん共済保険の手続き1件だけでした。しかもそれについての証明書類(例えば遺産分割協議書や遺言状)の提出の求めはありませんでした。(手続き書類に、申請者が法定相続人代表者であることの署名捺印は求められました)

従って。全法定相続人には葬儀の場や電話連絡などで、「死後の手続きは〇〇〇が全法定相続人の代表として行う」ことの同意をもらっておくことと、相続手続きの段階で遺産分割協議書などで「〇〇〇は全法定相続人から全法定相続人の代表としてこれらの手続きを行うものとして選任された法定相続人代表者である」旨の記載をすることを意識しておけば問題ないと思われます。

また、注意すべきは、法定相続人代表者として各種手続きを行う行為は、かなりの労力が必要で、時間拘束・費用負担も発生します。身近な方との居住地が違う場合などはさらに負担が増えますので、手続きの委任や内容によっては司法書士・税理士・弁護士などへの相談も検討しておきましょう。

葬儀関連

遺体の引き取り、葬儀打合せなどはご臨終直後から開始します。
以下情報の事前確認は、死後のプロセスをスムースに開始するのに大変重要な内容です。必ず確認しておきましょう。

葬儀社の互助会や冠婚葬祭を扱う各種互助会などへの加入がないかどうか当人へ確認しておきましょう。加入している場合は事前に、亡くなった際の連絡方法や葬儀の進め方や料金体系などを確認しておくことをお薦めします。そうすることで、いざという時に落ち着いて連絡することができます。

  • 互助会などの会員証書
  • 互助会・葬儀場などの死亡時緊急連絡先電話番号、住所
体験談

私の場合は、亡くなった3人ともに葬祭場が運営する互助会会員になっていましたので、生前に互助会(葬祭場)を訪問し、死亡時の連絡先・葬儀の流れ・概算費用見積・支払い方法などの確認と顔つなぎをしておきました。おかげで、死亡時もストレスなく連絡することができ、聞いていた流れに乗ってことを進めることができました。

互助会会員になっている場合は互助会、そうでない場合は近隣の葬儀社や葬祭場であらかじめ話を聞いておくことをお薦めします。

ちなみに、病院で亡くなりご遺体の引き取り先に当てがない場合、病院が葬儀社へ連絡しご遺体搬出となるとみられ、その場合はご自分達の思いが反映される流れになるかどうかは不確定で、不安を抱える要素になると思います。その意味でも、近隣の葬儀社や葬祭場であらかじめ話を聞いておくことは大切と考えます。

菩提寺・檀家寺など葬儀の際にお願いするお寺が決まっている場合には、連絡先を確認しておき、一度事前に、亡くなった際の連絡先や連絡可能な時間帯、その他必要なことについて連絡してみることをお薦めします。そうすることで、いざという時に落ち着いて連絡することができます。

  • お寺の緊急連絡先電話番号、住所
体験談

私の場合は、既に父が寺に墓を建ててありましたので墓の心配はありませんでした。また、生前に寺へ連絡をし死亡時の連絡先や流れについて丁寧に教えて頂くことができました。亡くなった時をはじめ、四十九日や納骨、法事など事あるたびに作法からお布施・戒名恩金の金額までそのたびに丁寧に具体的に教えてもらい大変勉強になりました。

お墓のことを含め、葬儀などでお願いするお寺にあたりがある場合には、あらかじめ具体的に話を聞いておくことをお薦めします。

危篤状態や臨終直後にでも声をかけた方が良いと思われる親族の方や、葬儀の取り計らいに深く関わる親族や会社関係の方などをリストアップし連絡先を確認しておきます。
事が急を要し、精神的にも不安定な状況で連絡とる必要が出てくるため、必須の準備項目です。
人数が多い場合などは、親類関係は電話連絡網のように直接連絡先は数人として、他への連絡は依頼するなども事前準備しておくのも一案です。

  • 家族・近親者の連絡先電話番号、住所
    (家族や身近な親族が対象)
  • 協力者の連絡先電話番号、住所
    (一緒に葬儀取り計らいを考えてくれる親族や会社関係者、もしくはそれに類する方)
  • 身近な法定相続人の連絡先電話番号、住所
    (速やかに必要な年金手続き・国民健康保険の葬祭費請求など法定相続人でないと基本出来ない手続きがあるため協力依頼を兼ねる)
  • 勤務先の連絡先電話番号
    (勤務先での各種死亡手続きのため、死亡確認後速やかに連絡が必要)

葬儀関連の日程をお伝えし出席確認の必要がある親族・親類をリストアップし連絡先を確認しておきます。

  • 一般的な親戚関係および縁や地理的に遠い親族の連絡先電話番号、住所
    (遠方、高齢、縁遠くなっている法定相続人など)
  • その他親類縁者の連絡先電話番号、住所

お付き合いがあり、お世話になった方々をリストアップし連絡先を確認しておきます。
積極的な連絡の有無は要検討ですが、弔問や香典へのお返しなどの際にも役立ちます。

  • 近所の方・町内会 連絡先
  • 通っていた美容・理容室・鍼灸マッサージ治療院など 連絡先
  • ケアマネージャー・介護施設・ヘルパーなど 連絡先
  • 同窓会・同級会などの事務局、趣味のサークル代表者 連絡先     など
体験談

近隣の方を含め、お付き合いの深さは当人でないとわからない場合が多いため、連絡するかどうかの判断は悩ましいところです。

私の実家がある地方では、地域で有力な新聞社が毎日「おくやみ」として亡くなった方の情報をリストして掲載するコーナーがあり、地域住民も近隣の方や知り合いの動向を確認する情報源として定着しているものがありました。
新型コロナウイルスの影響下でもあり、負担のかかる弔問を控えて頂くこともお互いのためと考え、「おくやみ」のコーナーへ死亡の事実と葬儀終了した旨の定型文のみを掲載してもらいお付き合いのあった方々への連絡に代えさせていただきました。

地方によっては、このような「おくやみ」告知の根付いた習慣がある場合もあると思います。是非確認してみてください。

なお、私の場合での新聞紙上への「おくやみ」掲載は定型内であれば無料で利用でき、当然ですが事前に新聞社から掲載の可否と掲載内容についての確認電話連絡がありました。

役所手続き関連

役所手続き関連は一般的な項目について記載しておきます。
障害福祉や子ども・子育て関連、車両の税金関連などは、その状況により一般的な内容記載が難しいため、「窓口へ確認」とさせて頂いたものが多いですが、個別に正しい準備は「窓口へ確認」に勝るものは無いためご理解ください。

区市町村役所によっては、身近な方が亡くなった際の手続き案内書やガイドブックが用意されています。役所のホームページや電話連絡で一度確認されてみてはいかがでしょうか? また、役所によっては、身近な方が亡くなった際の役所内手続きをワンストップで行ってもらえるコーナーを用意しているところもあり、増えてきていると聞かれます。こういったコーナーの存在を確認しておいてもいいかもしれません。

健康保険の種別と健康保険証および後期高齢者医療被保険者証(対象者の場合)の日常的な保管場所を確認しておく。
健康保険証の種別により連絡先(国民健康保険は区市町村役所)が違ってくるため、いざという場合の連絡先も併せて確認が必要です。。
健康保険証は返納が必要なため必ず見つけられるようにしておく。病院で亡くなる場合は、入院のために病院に持って行ってる可能性や、介護施設入居者の場合などは介護施設で管理している場合もあります。

  • 健康保険被保険者証(保管場所)
  • 死亡時の手続き連絡先(国民健康保険は区市町村役所、会社員であれば勤務先 など)

介護保険被保険者証とともに付帯している介護保険負担割合証や介護保険負担限度額認定証(対象者の場合)などの日常的な保管場所を確認しておく。
介護保険に関する連絡先は区市町村役所。
介護保険証は返納が必要なため必ず見つけられるようにしておく。病院で亡くなる場合は、入院のために病院に持って行ってる可能性や、介護施設入居者の場合などは介護施設で管理している場合もあります。

  • 介護保険被保険者証(65歳以上の方)(保管場所)
  • 介護保険負担割合証(要介護、要支援認定受けている方)(保管場所)
  • 介護保険負担限度額認定証(対象者の場合)(保管場所)

障がい者福祉に関しての支援は全国一律のものと各自治体独自のものを含め多岐にわたります。手続き詳細は区市町村役所の担当窓口で確認いただくことになりますが、準備・確認しておくものは以下の手帳類となります。対象者である場合は確認しておくようにしてください。

  • 身体障害者手帳(保管場所)
  • 精神障害者福祉保健手帳(保管場所)
  • 療育手帳(各自治体で呼び名が違う場合があります)(保管場所)

税金の納付状況により支払いが必要になる場合もあります。役所側でも納付状況は把握していますが、納付の通知書や領収書は確認できないとトラブルの元になりかねません。
車両関係の手続きは種別や排気量、廃車するのか名義変更するのかで複雑なため、必要手続きや必要書類を窓口で必ず確認してください。

  • 区・市・町・村民税(区市町村役所) 通知書・納付領収書
  • 都・道・府・県民税(区市町村役所) 通知書・納付領収書
  • 固定資産税(区市町村役所) 通知書・納付領収書
  • 原動機付自転車(区市町村役所) 標識交付証明書・ナンバープレート
  • 軽四輪および二輪(区市町村役所) 手続きに必要なものは窓口へ確認
  • 普通自動車(都道府県税事務所) 手続きに必要なものは窓口へ確認
  • 国税(相続税・所得税など)(税務署) 手続きに必要なものは窓口へ確認
準確定申告の必要性の確認

確定申告が必要な人が申告前に亡くなると、代わりに相続人などが所得税の申告を行う必要があります。これを準確定申告といいます。準確定申告が必要になるケースは以下の通りですが、前年に確定申告を行っている場合も含めて準確定申告の要否判断は最終的には税務署へ相談してみてください。

  • 個人事業主であったり、不動産所得を得ていた
  • 公的年金を受給していた(受給額による)
  • 多額の医療費を支払った
  • 2か所以上から給与を得ていた
  • 給与収入が2.000万円を超えている
  • 給与所得と退職所得以外の合計が20万円以上ある
  • 給与所得者で年末調整をしていない

以下のような子ども関連手続きが必要ですが、地域により内容も異なるうえ、亡くなった方が保護者の方なのかお子様なのか、もしくは保護者の同居親族・配偶者の方かによって必要手続きと必要書類が異なりパターンが多岐にわたります。手続き方法や手続きできる方、必要書類については具体的に区市町村役所の担当課窓口へ連絡して確認してください。

  • 区市町村 担当課連絡先(電話番号)
  • 児童手当
  • 児童扶養手当
  • 福祉医療費受給者証(保管場所)
  • 就学援助
  • 特定疾病
  • 在宅子育てサポート
  • 保育所・幼稚園

年金関連

年金の受給者が亡くなった場合は、年金受給者死亡届(死亡から14日以内)の提出が必要となります。通常の葬儀の流れ(概ね死亡後7日程度)であれば葬儀後速やかに行う必要がある手続きですので、あらかじめ確認しておくべき内容です。

  • 地域の年金事務所連絡先(電話番号)

手続きに必要な書類は、亡くなった方のみならず、手続きを行う法定相続人代表者などの書類も必要となってきます。死後に速やかに入手するのが困難な場合は事前準備しておくことも検討してみてください。

  • 年金手帳(保管場所)
  • 各年金受給者証書(年金受給中の場合)(保管場所)
  • 手続き者(基本は法定相続人代表者)の戸籍抄本または戸籍謄本
  • 手続き者(基本は法定相続人代表者)のマイナンバーカードの両面コピー
    もしくは免許証など身分証明書のコピー(詳細は年金事務所へ確認)
  • 手続き者(基本は法定相続人代表者)の通帳コピー(表面と見開き1ページ目)
    (未支給分振込のため)

金融機関関連

金融機関が当人の死亡を知った段階で、口座は凍結され取引関係は停止となります。
口座凍結後、各口座の残高の名義変更や解約・出金をするためには各金融機関所定の相続手続きが必要となります。

相続手続きは急務ではないものの、金融機関に残っている個人の財産を引出し分配するためや、加えて相続税計算には全ての金融機関の財産を明らかにする必要がありますので、生前から持っている金融機関口座情報を捉えておくことが重要です。

使っていてもいなくても、持っている金融機関口座の金融機関名(金融機関コード)・支店名(支店コード)・口座番号・口座種別を確認・記録しておきます。合わせて通帳や銀行印・キャッシュカードの日常の保管場所を確認しておきます。銀行・ゆうちょ銀行・証券会社について口座の有無や口座情報をチェックしてみてください。

また、キャッシュカードの暗証番号やインターネットバンキングなどのログイン情報も確認しておくと後々便利な場合があります。これらを知っていることで、タイミングによっては高額な葬儀費用やお寺へのお布施代などを引き出せる場合があります。

  • 取引金融機関名(金融機関コード)
  • 支店名(支店コード)
  • 口座番号
  • 口座種別(普通、当座 など)
  • 通帳・銀行印・キャッシュカード(保管場所)
  • 定期預金証書(保管場所)
  • 各口座の残高
  • キャッシュカード暗証番号(可能であれば、知っていると便利)
  • インターネットバンキング ログイン・取引実行の情報
    (可能であれば、知っていると便利)

不正利用防止のためにも、クレジットカードは速やかに死亡届け出をして残債確認と破棄処分が必要です。

  • 所有クレジットカード(保管場所)
  • クレジットカード利用明細書(あれば)(保管場所)
  • クレジットカード暗証番号(可能であれば)
  • クレジットカード インターネットサイトログイン・取引実行の情報
    (可能であれば、知っていると便利)
  • 各所有クレジットカードの死亡連絡先電話番号
  • 各所有クレジットカードの主な利用目的

公共料金・インフラ契約関連

公共料金や下記のようなインフラ契約関連では、名義変更や供給・サービスの停止手続きなどが必要になってきます。その際に必要な連絡先電話番号などは、多くの場合領収書や検針票に記載されています。事前に領収書や検針票などを揃えておければベストです。なお、死後には振替口座凍結による支払い督促状でも連絡先確認ができます。

  • 電気契約先および連絡先電話番号
    (領収書や検針票など)
  • ガス契約先および連絡先電話番号
    (領収書や検針票など)
  • 水道契約先および連絡先電話番号
    (領収書や検針票など)
  • 契約先会社名および連絡先電話番号
  • 契約先会社名および連絡先電話番号
  • 地域NHK連絡先電話番号
  • 契約先会社名および連絡先電話番号

個人事業主であった方や副業・趣味などでの利用でインターネット関連やアプリなどの自動継続年間継続契約やサブスクリプション契約などをしている場合があります。それらの多くは支払いが継続されている限り、自動更新となりますので、これらの契約の有無と解約方法を知っておく必要があります。

以下のようなものに心当たりがある場合は事前確認してみてください。

  • インターネットプロバイダー契約
  • ホームページやブログ運用のためのレンタルサーバー契約
  • ドメイン名契約
  • 有料ゲームアプリ
  • 有料音楽サイト
  • YouTubeなど動画サイトの有料サービス契約
  • 有料SNSサービス
  • 有料ネット動画配信サービス
    (NEIFLIX、Disney+ など)
  • 有料クラウドサービス各種    など
注意事項

最近増えているクラウドサービスは便利でありがたいものですが、画像や音楽、デザインなどいわゆる著作権物にあたる作品などを保存している場合、著作権者が亡くなった後の扱いが運営会社によって大きく差があるもようです(残念ながら私もこの手の体験談はありません)。保存しているデータを死後必要とする場合は必ず事前確認をしてください。もしくは可能であれば事前にローカルの媒体へコピー・移動しておくのが最善と思われます。

Apple社のicloud、MicrosoftのOneDrive、Googleのドライブやフォト、Dropbox、ブログのレンタルサーバーなどをはじめとして多種多様なインターネット上のストレージ(データ保存)サービスがありますので、個人で音楽制作、イラスト製作、デザイン制作、各種画像制作、写真制作などを手掛けている場合は要チェックです。

原則的には死亡確認や支払いが遅延した時点で契約解除となりデータの取り出しが不可となると考えて必要な対処を行いましょう。

相続関連

相続は、被相続人の所有する財産と価値を明確にした上で、相続人での分割方法を定めて手続きを行い、更に定められた納税を行う行為と言えます。

これらの一連の相続手続きは、被相続人の死亡後10ヶ月までに完了(相続放棄や限定承認場合は3ヶ月以内)しなくてはいけません。被相続人の死後、急務な手続きではありませんが納骨や49日あたりを契機に実際の協議や手続きを進めていくのが一般的です。必要な納税までを遅滞なく終えるためには、以下のような内容での確認や準備が必要です。

一方では、手続き面とは別に、相続に関しては、被相続人あるいは法定相続人や被相続人に深く関わった方などの立場や思いが重要になりますので、可能な限り被相続人の生前において、すべての関係者の合意形成を行うコミュニケーションが日々継続されていることが望ましい状態と考えます。

遺言書には、公正証書遺言と自筆証書遺言があります。どちらであってもその存在の有無と保管場所の確認が重要です。公正証書遺言の場合は全国の公証人が利用できる「遺言検索システム」で、保管されている公証人役場を知ることができます。自筆証書遺言の場合は保管場所を確認しておかないと当人の意思を尊重した相続につながらない可能性があります。
相続トラブルの防止や円滑な手続きを行うためにも、是非当人へ遺言書の有無と保管場所について確認しておきたいものです。

  • 遺言書の有無
  • 遺言書の保管場所・管理者など

事前確認の段階では、戸籍謄本および生まれてからの全ての連続した戸籍謄本を確認するか、当人へ確認してみるかどちらかになります。誰も知らない様な認知された子や兄弟の存在の可能性が無い限り、事前に生まれてからの全ての連続した戸籍謄本を入手するのは費用や労力の負担が大きくなりますが、事前に確実に知っておきたい場合は有効な手段となります。

死亡後は、除籍手続き完了後に、生まれてから亡くなられた時までの全ての連続した戸籍謄本(除籍謄本・改製原戸籍)の必要枚数入手、もしくは、生まれてから亡くなられた時までの全ての連続した戸籍謄本(除籍謄本・改製原戸籍)を1セット入手しての認証文付き法定相続情報一覧図の作成が必須となります。

  • 家系図(当人に確認した法定相続人情報)
  • 出生からの全ての連続する戸籍謄本
  • 法定相続人の連絡先(電話番号、住所)

相続財産確定には、金融機関の残高や借入(負債)などの確認が必須となります。必要な事前確認内容は前述の金融機関関連の欄と同じです。

また、各金融機関での相続関連手続きの必要書類は、区市町村役所へ死亡届提出して除籍処理された後の書類が必要ですので生前の事前準備はできません。必要書類や必要手続きについては各金融機関からの案内に沿って行うことになります。参考のために、死後に準備が必要になる相続関連書類を以下にリストしておきますが、必要書類や書式は金融機関や状況によって変わる場合がありますので必ず各金融機関へ確認してください。

参考

死後に準備が必要になる相続関連書類は概ね以下のとおりです。

  • 各金融機関交付の相続手続き依頼書
  • 相続手続き依頼の来店者の本人確認書類
    (運転免許証・健康保険証など)
  • 被相続人(亡くなった方)の通帳・証書・取引明細書・貸金庫鍵・貸金庫カード等
  • 被相続人(亡くなった方)の出生から死亡・除籍までの連続した戸籍謄本(全部事項証明書)
    (除籍謄本、改製原戸籍)
  • 相続人全員の戸籍謄本(全部事項証明書)
    ※相続人が被相続人の戸籍から、婚姻や養子縁組などで除籍・転籍などがある場合、もしくは兄弟姉妹の場合などは必要書類が増える場合がありますので、具体的には各金融機関に確認してください。
  • 認証文付き法定相続情報一覧図の写し
    ※法定相続情報一覧図を作成し、写しを用意した場合は上記戸籍謄本書類は不要となります。ただし、法定相続情報一覧図作成のためには戸籍謄本書類は必要です。金融機関が2か所以上の場合や別途不動産の相続がある場合などは法定相続情報一覧図の作成をお薦めします。
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 遺言書 または 遺産分割協議書


     ≪相続手続きを代理人へ委任する場合≫
  • 委任状(手続きを代理人へ委任する場合)
  • 代理人の印鑑登録証明書(手続きを代理人へ委任する場合)


     ≪遺言書での相続手続きの場合≫
  • 遺言書の検認済証明書(自筆遺言書の場合)
  • 遺言執行者の印鑑証明書(遺言にて遺言執行者の指定がある場合)
  • 遺言執行者の選任審判書謄本(家庭裁判所で遺言執行者が選任されている場合)
  • 受遺者(遺言書によって遺産を受け取る方)の印鑑証明書
  • 受遺者(遺言書によって遺産を受け取る方)の戸籍謄本・戸籍抄本・住民票のいずれか

また、法定相続人確定のための戸籍謄本の入手や、慣れない(慣れる必要もないと思われる)法定相続情報一覧図作成作業は、法定相続人数が増えれば増えるほど大変な作業になり、特に関係者がそれぞれ離れている場合は、郵送代や移動にかかる費用・時間、待っている時間などが予想外に増えていきます。
相続に不動産なども含まれる場合などは相続登記の件なども出てくるため、費用は掛かりますが、専門家である司法書士にまとめて依頼することもおススメです。

体験談

私の場合は相続手続きの中で、「法定相続情報一覧図」作成と写しの入手、および相続した不動産の相続登記・所有権移転登記を司法書士へ委任しました。また、「遺産分割協議書」作成はお願いしませんでしたが、自分で書いた草案に対してのアドバイスは頂きました。

私の身近で亡くなった3人は全員地方都市の実家に戸籍があり私は東京に住んでいました。更に法定相続人は東京や実家とは別の地方都市に居たりの状況でした。実家のある市役所や法務局への往復は仕事の状況や体力面、新型コロナの状況などから現実的ではないと判断し上述のように司法書士への委任をしました。

もちろん、できる限り関係者とのコミュニケーションや遺産分割協議書への署名捺印は全員東京で一堂に会して行いましたが、関係した法定相続人や司法書士の方々の多大な協力の下で、連絡はメールやLINE、電話のやり取りだけで済み、効率的であったと思います。不動産登記関係もあり費用は掛かりましたが、むしろ「これだけで済んだ」という思いが正直なところでした。司法書士の報酬は法定費用ですので人によって差はなく、その地域の司法書士会の名簿検索などで探すことができます。不動産登記の有無やその規模、依頼内容、出張旅費や郵送費発生の有無などによって費用は変わりますが数万円~十数万円程度を想定して、具体的には司法書士へ確認してみてください。

※余談ですが、母は生前「私の生年月日が小さいころの記憶といつの間にか違っている」と愚痴っていたことがありました。何かの記憶違いかボケてきたのか等と笑い飛ばしていましたが、今回司法書士へ「法定相続情報一覧図」作成を委任したことで、母が結婚した際に役所の手違いで生年月日が違ったものになっていたことが判明し修正もしてもらえました。母の不満であったことがひとつ解決したこと、大変ありがたく思いました。
こんなこともあるんですね。

財産関連の把握は主に2つの目的のために行っておきたい項目です。1つは相続の協議や手続きを円滑に行うため、2つ目は相続税の概算をすることで納税の必要性有無やおよその金額を想定しておくため、となります。

後々、新たな財産が見つかったり、新たな借金が判明したりした場合にはトラブルの元になるため生前からのコミュニケーションと財産把握が重要となります。

金融資産

  • 現金(額面、保管場所)
  • 普通預金・定期預金(利息含めた額面、口座情報)
  • 投資信託・株取引・債券 など(時価、口座情報・保管場所)

不動産

  • 土地(所有する土地の登記情報、固定資産税納付通知書)
  • 建物・家屋(所有する建物の登記情報、固定資産税納付通知書)
不動産の価値算定方法

相続税計算上の不動産の価値は以下のように算定します。

土地
所有する土地の登記記載の面積と路線価の掛け算、もしくは固定資産税評価額を使用します。
 ・路線価が定められている地域については、 面積(㎡)× 路線価(千円/㎡)
 ・路線価が定められていない地域は、固定資産税評価額
で算定します。

路線価については以下を参照してください。また固定資産税評価額については固定資産税の納付通知書で確認するか、区市町村役所へ確認してください。

建物・家屋】
固定資産税評価額を使用します。固定資産税評価額については固定資産税の納付通知書で確認するか、区市町村役所へ確認してください。

株式

  • 株券 または 相当の証書類(所有の有無、保管場所)
  • 時価

ゴルフ会員権

  • ゴルフ会員権証書(所有の有無、保管場所)
  • 時価

マイナスの財産

思いもよらない債務や保証人になっている債務など抱えている場合があるため、生前から確認しておくべき内容です。場合によっては、相続放棄や限定承認(死後3ヶ月以内の手続き)の判断材料にもなります。
マイナスの財産には以下のようなものがありますので明らかにしておきましょう。

  • 負債
    いわゆる借金や住宅ローンなど
    住宅ローンの場合は「団体信用生命保険(団信)」加入でローン完済となる場合がほとんどです。団信加入を確認しておきましょう。
  • 保証債務
    保証人となった保証債務
    (連帯保証人になっている場合など、将来に渡って保証債務が発生する可能性があります)
  • 損害賠償債務
    不法行為や債務不履行などで損害を与えた損害賠償債務
  • 未払金
    クレジットカードや公共料金、会費などの未払い代金
  • 買掛金
    営業上の未払い代金など
  • 公租公課
    未納の税金など

これらのマイナスの財産が確認された場合は以下を確認しておきます。

  • 債権者名、連絡先(電話・住所)
  • 債務額
相続放棄をする場合の注意事項

マイナスの財産が大きな場合など、相続放棄を検討する場合が多いと思います。

相続放棄は、被相続人の死後3ヶ月以内に所定の手続きを行いますが、相続放棄をする相続人は死亡後から被相続人の財産には手をつけてはいけません。マイナス財産の整理(借金の返済や、支払い督促状への支払いなど)や価値あるものの売却などをしてしまうと、相続放棄の手続きが認められなくなりますので注意が必要です。

相続放棄した場合、相続財産は他の相続人(法定相続人全員が相続放棄した場合は家庭裁判所が選任した相続財産管理人)の財産(プラスもマイナスも含めて)になりますので他人のものに手を出してはいけません。

支払い督促や借金取り立てなどに対しては、「私は相続放棄する(した)ので、支払いや返済の義務はなく、他の相続人(法定相続人全員が相続放棄した場合は家庭裁判所が選任した相続財産管理人)へ連絡してください。」ときっぱり支払い・返済を拒むことが必要で法的にも正しい対応です。
もし、精算金などを受け取ってしまっていた場合は、それを明示して他の相続人(法定相続人全員が相続放棄した場合は家庭裁判所が選任した相続財産管理人)へそのままお渡しするしかないと思われます。

相続放棄については、状況判断や他の相続人との争議回避なども併せて弁護士へ相談してみるのも一案と思います。

書画・骨董品など

いわゆる、壺や焼きものなどの骨董品類、書や掛軸、絵画などの書画美術品類です。
同様なものが市場で流通している場合は市場売買価格、高額なものや市場にあまり見られない一点物などは精通者意見価格を参考にして決定されます。高額なものでなければ、買取業者やリサイクルショップの査定価格を使用して問題ないと思われます。

  • 所有リスト(市場価値ありそうなもの)
  • 価値判断参考資料(入手経緯、鑑定書、買取査定など)
  • 写真など

貴金属・ブランド品・古銭・切手など

書画・骨董品などと同様に、買取業者やリサイクルショップの査定価格を使用して問題ないと思われます。

  • 所有リスト(市場価値ありそうなもの)
  • 価値判断参考資料(鑑定書、買取査定など)
  • 写真など

家電・衣類・家具 などの家財動産(家庭用財産)

家電・衣類・家具などの家財動産で、家庭用財産という区別で扱われます。
特別なビンテージ物や、誰もが認めるような市場価値のある着物類、骨董家具類を把握しておきます。

  • 所有リスト(市場価値ありそうなもの)
  • 価値判断参考資料(買取査定など)
  • 写真など

保険

生命保険については、以下について必ずチェックを入れておきましょう。
契約者名・被保険者名・受取人名のパターンにもよりますが、死亡保険金は(500万円 X 法定相続人数)までが非課税枠となりますので、余裕がある場合は死亡保険金を最大枠まで見直すことで節税効果を得ることも可能です。

  • 生命保険証書
  • 生命保険の契約者名・被保険者名・受取人名
  • 死亡保険金額
  • 生命保険会社連絡先

まとめ

導入部分の記述の繰り返しになるかもしれませんが、想定もしなかった事故や病気などでの突然死を除き、ごく一般的な高齢で死期が近づいてきた場合であっても、当の本人は終活(エンディング)を意識していない方も多いと思います。そのような方へいきなり終活(エンディング)として情報整理を持ち掛けてもことは進まないと考えてください。

そのようなときに、日頃の会話の中で上にまとめた項目をひとつづつ何気に聞いていくことで、本人にとってはいろいろな思い出と絡み合って頭の中で情報整理が進みます。それをうまく引き出して記録しておく(記録しておいてあげる)ことで、本人にとっては人生の振り返りにつながり、思いと情報の整理が更に進みます。残される側にとっても、いざという時のための情報収集ができますので、双方にとって豊かで実りの多い時間を過ごすことができます。

情報を何気に確認する意味でも、また、後から豊かで実りの多い時間を過ごすことができたと思えるように、上に載せた内容を大切な身近な方との生前のコミュニケーションに役立てて頂ければ幸いです。

以上

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